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2010年2月

2010年2月26日 (金)

Vistaと7でx264のエンコード速度を比較してみる思索

ということでやってみました。

 

【理由】

以前どこかのブログで「Windows7にしたら速くなった」という趣旨の記事を見つけ、実際OSによってエンコードの処理速度に差が出るものなのか気になったため。

 

【条件】

OS

・Windows Vista Home Premium SP2 32bit

・Windows 7 Professional 32bit

CPU

Intel Core i7 920(定格2.66GHzにて使用、HTon)

使用ソフト

AviUtl(99i3)+x264gui(1442release01)

使用ストレージ

・AviUtl本体配置場所=SSD

(INTEL SSDSA2M240G2GC、OSと同ストレージ)

以下テスト時のストレージ情報

Ssd

・動画ファイル読書先=HDD(WESTERN DIGITAL WD10EADS)

以下テスト時のストレージ情報

Hdd

( ゚д゚) 最近デフラグしてなかったからかな…それにしてもHDD酷いw

AviUtl関連設定

・優先度:ノーマル

・使用スレッド:

 設定できるものはすべて8

 x264設定のみ0(自動設定=通常8)

・x264設定:

x264gui内蔵設定:高画質に--level 4.1と--no-mbtreeオプションを追加し、自動フィールドシフトの項目にチェック

・フィルタ設定:

詳細は後述するが、SSE関連や使用スレッド数を選べるものは最も速いと思われるものを選択

 

【検証内容】

上記の条件で、フィルタを(通常かけるであろう範囲内で)必要最小限しかかけないHDアニメと、最も多くかけた(重いマルチコア非対応フィルタ含む)SDアプコンアニメのOP(動きの激しい場面1分30秒程度)とED(動きの少ない場面1分30秒程度)をx264でエンコードし、Windows Vistaと7それぞれの処理速度を比較する。比較にはx264guiのlogを使用。

なお上記条件の他、電源のパフォーマンスや裏処理関連など、AviUtl関連以外の条件も出来うる限り同一にしてある…が、これらは基本OSインストール時に設定を統一したためぶっちゃけあまり覚えていないし、仮に覚えていてもかなり膨大な量になるため、ここでの記載は省略するものとする。

 

【検証用動画とフィルタの詳細】

①HDアニメOP

・『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』第44話のOP

Fullmetal_alchemist_op_r

・フィルタ:

 自動フィールドシフト(プリセット設定:映画/アニメ)

 クロップ

 Lanczos3(1280x720)

②HDアニメED

・『クロスゲーム』第46話のED

Ed_r

・フィルタ:①と同一

③SDアプコンアニメOP

・『はじめの一歩』(1期)第28話のOP

Op_r

・フィルタ:

 自動フィールドシフト(プリセット設定:映画/アニメ)

 透過性ロゴ

 ノイズ除去(時間軸)フィルタ(192-2-30)

 そらかけのシュート潰し(0-2-2)

 クロップ

 Lanczos3(960x720)

 DeDotMT(7-20)

 NL-Means Lite(2-50)

 prefilter for nonlinear sharpen(100)

 nonlinear sharpen(30-0-25-20、チェックはデフォルト)

 WarpSharpMT(110-3-70- -6)

 ※カッコ内は設定(基本上から順に)

④SDアプコンアニメED

・『はじめの一歩』(1期)第28話のED

Ed_r_2

・フィルタ:③と同一

 

【検証結果】

※画像クリックで別ウィンドウに拡大表示されます。

①HDアニメOP

・Vista

Fullmetal_alchemist_op_winvista

・7

Fullmetal_alchemist_op_win7

②HDアニメED

・Vista

Ed_winvista

・7

Ed_win7

③SDアプコンアニメOP

・Vista

Op_winvista

・7

Op_win7

④SDアプコンアニメED

・Vista

Ed_winvista_2

・7

Ed_win7_2

 

fps(1秒間あたりの処理フレーム数)のみでの単純比較となるが、それぞれを書き出すと

①WindowsVista:7.89 > Windows7:7.52 (95.3%)

②WindowsVista:13.14 > Windows7:12.48 (94.9%)

③WindowsVista:3.24 < Windows7:3.33 (102.7%)

④WindowsVista:3.23 < Windows7:3.32 (102.7%)

となり、処理速度に多少なりとも誤差以上の差が出た。

※カッコ内はVistaでの処理速度を100%とした場合の値。

時間の関係もあり、それぞれ1ケースずつしかテストできなかったため信憑性は非常に微妙なところだが、一応規則性が出来ている。どうやら一概に「どちらのOSが速い」とは言えないようだ。

上記をまとめるとするなら、「単純なエンコードだけならVistaの方が速いが、フィルタを使うほど7が優位になってくる」といったところだろうか。ただし動きの激しさによる処理速度の差は、(実用上の範囲に限ればであるが)フィルタをかけるほどに小さくなっている。

 

【考察】

さて、ではどうして上記のような結果になったのか。自分なりに考える上で、それぞれのエンコード時のCPU使用率を見てみることにする。

①HDアニメOP

・Vista

Cpu_fullmetal_alchemist_op_winvista

・7

Cpu_fullmetal_alchemist_op_win7_r

②HDアニメED

・Vista

Cpu_ed_winvista_r

・7

Cpu_ed_win7_r

この2つからわかるのは、明らかにWindows7の方が上下幅が大きいということだ。エンコード中CPU使用率の平均値を見ていると、Vistaの方が常に高い使用率を維持しており、希に100%に張り付くこともあったのに対し、7では100%に張り付くことはまずなく、常に数値が揺れていた。

③SDアプコンアニメOP

・Vista

Cpu_op_winvista_r

・7

Cpu_op_win7_r

④SDアプコンアニメED

・Vista

Cpu_ed_winvista_r_2

・7

Cpu_ed_win7_r_2

次にこの2つだが、こちらは①と②より違いがはっきりと出ている。③④共に共通しており、Vistaでは多少の揺れこそあれ、どのコアも一定の値(なぜか1コアだけがやたらと高い数値を維持しているが)を示しているのに対し、7では各コアの上下幅が大きいことに加え、右2つのコアに至っては使用率が0%になることすらあった。

これらから推測するに、7はおそらくOSレベルでパフォーマンス<省電力に特化しているため、CPUをほぼフルに使う処理同士の比較ではVistaよりも1つのアプリが発揮するパフォーマンスを抑える傾向にある(極力100%に張り付かないよう、どこかのコアにわざと余裕を持たせている?)が、CPU使用率が低く、シングルコアの方がパフォーマンスを発揮する要素が内包されているアプリでは、HT(Hyper Threading Technology:i7 920は物理4コアに、物理4コアの未使用領域を使用した論理4コアを加えた、論理8コア構成となっている)を使った各コアへの割り振りが最適化され、全体的な処理能力が向上している――ということが考えられる。

Vistaでひとつのコアだけが高い数値を維持していたのは、もしかしたらこのコアにのみマルチコア非対応フィルタの処理が集中していたためかもしれない。

 

【感想】

他にもかなりのパターンを試行錯誤してみなくては正確な結果も理由も出ないだろうが、簡単な思索ながらも比較的明確な違いが出てくれたことは一つの答えに繋がったように感じている。使うパーツや環境にもよるだろうが、とりあえず「Vistaと7でエンコード速度は違うのか」と言う命題に対しての答えは、「確かにOSによりエンコード速度に違いが出る可能性はあるが、必ずしもどちらかが速く、どちらかが遅いというわけではない」ということでいいだろう。大抵の場合ほとんど気になるほどの差にはならないだろうが、これからエンコPCを組むという人は、こうしたことも参考にしてみるといいかもしれない。

 

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2010年2月14日 (日)

AviUtlで地デジの古いアニメを補正してみる思索 & NL-Meansの使い所

更新はもとより久々すぎるエンコのお話。今回はテレビ欄を探せば必ずひとつは見つかるであろう、十数年以上前のビデオ時代全盛期アニメの補正についてである。

この頃のアニメと言えば、デジタル処理でないため常にブレが発生していたり、現在残っている元映像自体状態があまりよくはない。そのため(ほぼ)強制的にアプコン処理されて放送される現在の地デジ放送では、変に拡大処理が入ることで更に酷いことになっている場合も多い。だからといって、古いアニメには古いアニメなりの良さがあり、せっかく放送されているのにみすみす保存を諦めるというのも癪である。そこで自分なりに試行錯誤してみた結果、なんとか保存しておこうと思えるレベルには補正することが出来たので、それを以下に記載していこうと思う。

この手のアニメでよくみられる画質劣化要素として、過度の輪郭強調によるリンギングと、当時のアナログ処理によるノイズが共に盛大に発生している点が挙げられる。これから話す補正処理は主にこの2点に着目し、画面ブレ等その他の要素は(手間や処理速度などにより)効率の面から除外するものとする。

検証素材として、先日までTOKYO MXで放送されていた宮崎アニメ「未来少年コナン」を例として挙げてみる。

Before

これは第25話「インダストリアの最期」の1シーン。画像をクリックして等倍表示(AviUtlにより縮小のみした状態のため、画像サイズは960×720)にしてもらえばわかりやすいと思うが、上記悪要素が漏れなく搭載されているのがわかる。まずこのリンギングをどうにかするため、「そらかけのシュート潰し」フィルタをかけてみる。

Photo

フィルタ設定はデフォルトのままだが、幾分か改善された。が、まだ中途半端だ。次に「リンギング低減」フィルタを重ねてかけてみることにする。

Photo_2

こちらの設定は数値はすべて0で、Highにのみチェック。リンギングに関してはかなり改善された印象で、これ以上やってもボケ方向への劣化が目立ってしまうだけなので、これで良しとした。ちなみに「そらかけ」「リンギング」各フィルタをそれぞれだけでも色々と設定を弄ってみたのだが、縦方向と横方向のリンギングをバランス良く低減するためには併用するのがもっとも効果的であった。

あとはこれまた盛大にのったノイズだ。これだけではわかりにくいかもしれないが、単一色部分(空や服、機械部など)を見てもらうとわかりやすいと思う。前後1フレームずつ動かしていくだけでもザラザラとしたノイズがわかるレベルだ。ここまでくると、もはや内蔵のノイズ除去だけではどうしようもない。そこで活躍するのが「NL-Means」フィルタである。ただこのフィルタはかなり重いため、GPU支援の期待出来ない自分の環境では上記フィルタからGPU機能を省いた「NL-Means Lite」を使っている。設定は上から2,52。ちなみにこのフィルタは、強力すぎるため使用には注意が必要な反面、先に補正したリンギング低減箇所を更に自然と溶け込ませる作用もある。

最後にリンギング対策の代償としてボケた輪郭を(リンギングが再発しない程度に)補正し直すため、「非線形処理な先鋭化」とその前置きフィルタをかけ(設定はデフォルト)、「WarpSharpMT」フィルタ(設定は上から110,3,70,-6)で仕上げて完成。

After

これが完成図。一応下記にbefore、afterとして再度アップしておく(内容は最初の補正前画像とすぐ上の完成図と同じ)。

before

Before

after

After

(2010/2/15追加UP)

before(顔部分切り出し3倍拡大版)

Beforeup

after(顔部分切り出し3倍拡大版)

Afterup

画像をクリックしてそれぞれを等倍表示し、重ねて比べてみて欲しい(※顔部分切り出し3倍拡大版画像も追加UPしたので、そちらの方が比較しやすいかも<2010/2/15追記>)。ややのっぺりしてしまった感も受けるが、まあ最初の見るに堪えない画像に比べればかなり改善出来たと思っている。ただ(お決まりの文句ではあるが)何を重視するのかによって意見は人それぞれであるため、あくまで参考程度ということで。

 

とりあえず古いアニメの補正というメインテーマはここまでとするが、ついでに今回使用した「NL-Means」というフィルタの使い所についても話しておきたいと思う。

前述したように、このフィルタは強力故に弊害も大きいため、使い所には注意しなければならない。特にアニメ絵では、あきらかに目に見えるだけのノイズ低減処理をさせていると、確かにノイズは内蔵フィルタとは比較にならないほど消えているのだが、同時に必要な情報まで欠落してしまったり、のっぺりした油絵のような状態になってしまうことがある。以下の画像がその例だ。

Nlbig

これは「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」のとある場面で、ランプの一部をわかりやすく拡大表示したものだ。ちなみに元画像はこれ↓

Nlori

これに先ほどの「未来少年コナン」と同設定の「NL-Means Lite」を当ててみると…

Nlbig_2

おわかりいただけるだろうか?ランプの輪郭、特に横に二本ある線のうち、下の方が明らかに消えかかっている(※比較用として、下の方に別途横並べした画像あり)。設定としては決して強くはないのだが、それでもここまでの効果があるためあまり常用はオススメできない。私は必要に応じて使い分けているが、基本は内蔵のノイズ除去フィルタを弄って使っている。仮に常用するのなら、(おそらく思っているよりも)かなり弱くかける程度にしておいた方が無難だろう。明らかにノイズが減っているとわかる程度にまで設定を上げる(基準はデフォルト設定以上)と、このランプの輪郭はほとんど消滅してしまう。

最後に蛇足ではあるが、このNL-Meansフィルタ、見た目の効果は高いが、ノイズ除去系の特徴でもある「完成後のファイル容量節約に繋がる」という観念がなぜか当てはまらず、むしろファイル容量が肥大化してしまう傾向にある。正確な理由はわからないが、どうも「特殊な処理により目に見えない余計な高周波成分が残ってしまう」ためだそうだ。こいつをどうにかする方法は、NLのあとに通常のノイズ除去系フィルタをほんのりと上乗せしてやるしかない。多少ベストな設定が見つけづらくなるかもしれないが、私としてはこの方法もオススメしたいところである。

以上となるが、おなじみ(?)のbefore、afterで締めとする。

左=before(NLなし)、右=after(NLあり)

Nlbig_3 Nlbig_4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上=before(NLなし)、下=after(NLあり)

 Nlori_2

Nlori_3

 

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2010年2月 9日 (火)

【Panasonic】マユシェーバーキット ER-KB50P

Dscf1408_r_2

【製品情報】

2008/9/01発売

推定相場価格 2,000-3,000円

 

【スコア】

オススメランク

★★★☆☆ B

 

個別ランク

デザイン

★★★★☆ A

造りの良さ

★★☆☆☆ C

切れ味

★★★☆☆ B

使いやすさ

★★★☆☆ B

コストパフォーマンス

★★★★☆ A

満足度

★★★★☆ A

 

【コメント】

数少ないメンズ眉シェーバー。値段は女性ものを含めても妥当なところで、メンズ用と言うだけあって男性が持っていても変に思われないスタイリッシュなデザイン。造りはよく見ると値段相応で安っぽさは多少なりともあるが、まあ水準はクリアしている。

さて肝心の切れ味だが、コームの使用と刃先の狭さが相まって一回滑らせただけでは剃り残しが多かったものの、切れ味自体は悪くなく、剃る際に引っかかるといったことはなくスムーズに進んだ。数回に渡って試すとほぼ均一に揃い、長さもコームの提示長とほぼ同様。仕上げのコームなしダイレクト剃りは、肌を傷つけることはない程度にサクサク行えた。ちなみにコームによる長さ調節は8、6、4、2mmの4段階が用意されている。

Dscf1414_r_2 ↑8、6mm用コーム。

Dscf1416_r_2 ↑4、2mm用コーム。

Dscf1417_r_2 ↑コームなしの素の状態。

今までハサミで30分かけてチョキチョキ切り、眉抜きで仕上げていたため非常に使いやすく感じたが、それでも細かい箇所をみてみると、防水でないため水で直接洗えなかったり、電池が単4電池1本のため駆動時間が心許なかったり(公称40分)、電池交換や手入れの際スイッチが誤作動しやすかったり(つい触れてしまいがちな位置にある)と、あと少しのところで微妙に使いにくくなっている点がやや残念。まあ値段が値段だけにしかたがない部分なのかもしれない。

Dscf1412_r_2 ↑電池ボックス。

Dscf1413_r_2 ↑スイッチ。

以上、一通り気になった点などを挙げてきたが、それでも水準以上の製品であることは間違いない希少なメンズ眉シェーバー。切った後の毛が散乱しにくい使いやすいコームも付属しているため、手作業に比べるとかなり楽になり、満足度は高い。自分は最短の2mmが好みだが、まあこれでもどこかのギャルのように薄すぎて怖くなることはないレベルなので安心だ。

眉処理はしてるけど女性用ばかりでなかなか手が出しにくい、あるいは手作業にかかる時間が惜しい男性諸君。あるいは切った後の眉が散乱し困っている人、なかなか均一に揃わない人など、是非一度この製品を試してもらいたい。メンズ製品といってもシルバー調のスタイリッシュなものなので、案外女性が持っていてもおかしくない点もポイントが高いように思う。

 

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