AviUtlの「透過性ロゴフィルタプラグイン」 ロゴが消える箇所への対処法
要はデジタル放送で付加された局ロゴを取るための作業ということになるのだが、初めて使った人がまず躓くであろう点が「ロゴのない部分だと逆に変に暗転したロゴが付加されてしまう」ことだと思う。
AviUtlとこの透過性ロゴフィルタの使い方さえ熟知していれば自己解決に至ることも可能であろうが、そこに至らなかった人のためにその対処法を以下に記載することにする。
まずはBS11放送アニメ『.hack//SIGN』から、10フレームのみをサンプルとして挙げてみる。※見やすいようロゴ部分のみを3倍に拡大表示済み。
この時点では放送時そのままのロゴが表示されている。
さてこれに透過性ロゴフィルタをかけてみよう。
このフィルタならではの特徴でもあるが、解析さえきちんとされたデータを使えばここまで綺麗に消すことが出来る。
しかしフレームを徐々に移動させていくと…
4フレーム目までは1フレーム目同様綺麗に消えているが、5フレーム目でうっすらと反転表示されたようなロゴが浮かび上がってくる。透過性ロゴフィルタを切ってみるとどうだろうか。
こちらもうっすら。つまりロゴがフェードアウトする、まさにその中間にあたる部分だいうことがわかる。
※なおBS11のロゴについては、このフェードアウト部分が1フレーム以内であるために、場所によってあったりなかったりするので注意が必要。今回は説明のため、あえてある部分を抜粋することにした。
一応更にフレーム移動させてみると…
6フレーム目から最終フレーム(10フレーム目)にかけて、今度ははっきりと暗転したような表示が続く。これは6フレーム目以降は完全にロゴが無くなっているためだ。ちなみにこちらも透過性ロゴを切ってみると…
当然のごとくロゴはない。
このサンプル動画の構成をまとめると以下の図のようになる。
ここで解決すべき内容をあげてみると、以下のようになる。
①ロゴのない部分だけ透過性ロゴフィルタを切る。
②フェード部分の対処。
まずは①からだが、結論から言うとAviUtlの一時プロファイル作成機能がその答えとなる。では実際に順を追ってやってみよう。
なお以下の解説は、あらかじめ透過性ロゴを適用した状態から始めるものとする。
※画像をクリックで別ウィンドウに等倍表示。
AviUtlでロゴの全くない6フレーム目を開始地点、10フレーム目を終了地点に設定し、編集項目から「選択範囲を新しいプロファイルにする」を選択する。
すると選択範囲のみ、画像のように#temp○[○]という表示になり、一時プロファイルが作成される。ここでは初めて作った一時プロファイルなので#temp1[1]となっているが、一時プロファイルを作る毎に○の中の数字は2、3、4、…と上がっていく。
また、試しに選択範囲外のフレーム(この場合は1~5フレーム)を選んでみるとわかるが、選択外のフレームにはこの表示はなく、デフォルトのプロファイル名が表示されている。
確認が出来たら先ほど選択した一時プロファイルのフレームに戻り(選択範囲内ならどのフレームでもOK)、ここで初めて「透過性ロゴ」フィルタのチェックを外し、非適用にする。この際「透過性ロゴ」の設定画面から、「プロファイル境界をフェード基点にする」にチェックをしておこう。※ これは次に説明する、フェード部分の対処で必要な処理となる。
※追記 上記の「プロファイル境界をフェード基点にする」へのチェックタイミングですが、これだとデフォルトのプロファイル設定でノーチェックとなる可能性がありますので、AviUtlを起動したらすぐ(動画ファイル読み込み前)にチェックをしておくようにして下さい。一度チェックを入れたら以降はずっとそのままでOKです。
フィルタはプロファイル毎個別に適用されるため、これでデフォルトの1~5フレームでは「透過性ロゴ」がON、6~10フレームでは「透過性ロゴ」がOFFに設定されたと思う。なお作成される一時プロファイルの設定は作成される直前のプロファイル設定を踏襲(コピー)するため、その他の設定を最初から見直す必要はない。
これで①の対処は完了したが、まだ②のフェード部分の処理が残っている。
今度はフェード部分の1フレームのみの変更なので、該当部分の5フレーム目のみを開始&終了地点に設定し、先ほどと同様に「編集>選択範囲を新しいプロファイルにする」を選択。
前述したように、今度は2つめの一時プロファイルとなるので表示が#temp2[2]となる。
透過性ロゴの設定だが、これも前述したように一時プロファイルの設定は直前のプロファイル(ここではデフォルト)を踏襲するため、今回もすでに「透過性ロゴ」フィルタにチェックが入った(適用済み)状態になっていると思う。しかし今回の処理は、透過性ロゴを適用した上でその透過レベルを弄る必要があるため、チェックを外さずにFadeIn(Outでも可)を0→1に変更する。これで通常の透過率を50%にした「1フレームフェード」の設定は完了する。
ただ、今後のためにもここでひとつ注意して欲しいことがある。それは局ロゴによってはフェードするフレーム数が1フレームとは限らないということである。まあ具体名を言ってしまえばTBSがその最たる例(というか自分の環境ではTBSが唯一)なのだが、この場合は始まりと終わり(フェードインかアウトか)、およびその開始地点と終了地点を見極める必要があり、しかもフェード工程が透過性ロゴの規則性と一致しないため、完璧を求めるなら1フレームごと一時プロファイルにして設定を変更していく必要がある。
一応上記に該当する人もいると思うのでその場合の設定方法も書いておくが、FadeIn(Out)を使えない1フレームずつの処理の場合、「透過性ロゴ」フィルタ設定の「深度」を弄ることでなんとかなる。この場合はデジタル思考の規則性などは一切考えず、アナログ思考に切り替え、実際に目でロゴ部分を見ながら深度バーをスライド(主に左方向)させていき、上手く消える数値を見つけ出す。
しかしこの作業は、ロゴ自体が緩やかにフェードしている(動いている)ためすべてのフレームで完全に消すことが困難なことに加え、典型的なアニメひとつをとっても出だしとOP終了時、Aパートの開始時と終了時、Bパートの開始時と終了時、EDおよび次回予告の開始時と終了時と、8回×それぞれ10数フレームを処理する必要がある。すべてをやろうとするとこのアナログ作業だけで100回近くに上り、かなり現実的とは言い難い。すべてを残したい気持ちもわかるが、効率の面を考えるとTBSロゴのような場合
・基本的にロゴのフェード部分は(ロゴがない部分も含め)該当フレーム自体を削除することで対処。
※その際オーディオ波形を表示しておき、無音部分であることを確認しながらやると以下の作業が楽になる。
・都度削除5秒前くらいから再生ウィンドウで再生してみて、本編に著しい瑕疵が出ているような場合(音声の繋がり方に違和感があるなど)のみ、違和感がない程度まで削除フレーム数を減らし、ロゴが残ってしまう部分のみを手動で設定。
・画面が真っ白or真っ黒など、ロゴ自体が見えなくなっている箇所は最初から考えない。
などの妥協が必要だろう(最後は当たり前かw)。
さてこれで一通りの作業は完了したので、結果を見てみよう。
これが1フレーム目。単に透過性ロゴをONにしただけのデフォルトプロファイル。
そしてこの状態が4フレーム目まで続き…
ロゴフェード部分の5フレーム目。透過性ロゴはONにしたままFadeIn=1にした、#temp2[2]の一時プロファイル。
完全にロゴが消えた6フレーム目。透過性ロゴをOFFにした#temp1[1]の一時プロファイル。
当然10フレーム目まで同じ。
これで1~10フレームすべてのロゴが消えたことになる。
最後にすべての処理をまとめてみた図がこちら↓
今回は説明用として10フレームのみをサンプルとして挙げたので一時プロファイルは#temp2[2]までしか作らずに済んだが、実際には二桁に近い数の一時プロファイルを作ることも多々あると思う。TBSロゴでは独自の妥協点も挙げたが、それを考えなくてもある程度はアナログな作業が必要なこのフィルタ。一度に多くの数をエンコするときほど億劫になりがちなため、NHKやテレビ東京などロゴのない部分が開始2~4レームほどしかないものは、いっそのこと該当フレーム自体を削除してしまうなど、色々と自分なりの妥協点を見つけていくといいだろう。
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