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2010年8月

2010年8月28日 (土)

何気にかなり使いやすい音楽ファイル変換ソフト「EcoDecoTooL」

 

 前置き 

今まで音声変換にはaacなら「neroAacEnc」を「Simple NeroAacEnc GUI」で、mp3なら「Lame」を「Lame Ivy Frontend Encoder」でといったように、変換元ファイルをwavにした上でそれぞれのGUIツールを使用してきた。が、知らないうちにかなり便利なマルチコーデック対応の音声ファイル変換ソフトが出ていたため、それを紹介しておこうと思う。

 

 紹介 

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その名も「EcoDecoTooL」。AAC/HE-AAC/AC-3/FLAC/Monkey's Audio/MP2/MP3/Musepack/PCM/ADPCM/Real Audio/TTA/WMA/Vorbisと、ほとんどの音声フォーマットの入力に対応しながらその画面は至ってシンプル。基本は出力形式と基本設定をドロップメニューから選択し、音声ファイルを画面内にD&Dするだけで、自動的に入力ファイルと同フォルダに変換出力される(出力フォルダの変更も可能)。

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出力も汎用性の高いwavの他、neroAacEncを使ったaacやLameを使ったmp3のエンコード出力に対応し、入力可能なフォーマットに比べれば少ないながらも実用的な機能を誇る。おまけに動画から音声を抽出することも可能。

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aac出力設定画面。aac出力の際にはEcoDecoTooL.exeと同フォルダ内にneroAacEnc.exeを配置してやる必要がある。設定は [AVR / CBR / VBR] と [LC-AAC / HE-AAC / HE-AACv2] 、そしてABR、CBRの場合は [16-320kbps(18段階)] から、VBRの場合は [0.0-1.0(11段階)] からビットレートを決めるだけのシンプルなものだが、2passなど細かなことを言わなければ必要十分だろう。出力形式はm4aで、オススメ設定はLC-AACでVBRの0.5(およそ190kbps相当)かCBRの128kbps。

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こちらはLameによるmp3出力設定画面。aac同様lame_enc.dllをEcoDecoTooL.exeと同フォルダ内に配置し、 [AVR / CBR / VBR] と、ABR、CBRの場合は [16-320kbps(18段階)] から、VBRの場合は [Q9-Q0(10段階)] から選択するだけ。オススメ設定はCBRの320kbpsかVBRのQ2(およそ190kbps相当)。なおmp3やwavは音量レベルも設定できるので、ノーマライズ用途としても使用可能(入力と同じ音量も可、音量を直接加工しないためやり直しの効くリプレイゲインにも対応)。

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試しにwavファイルをaacに変換しているところ。複数ファイルの連続出力にも対応し、結果は右上に表示される。変換中にはCPU使用率が変更可能で、すべてが終了すると「チン」と言ったレンジのような音と共に自動的にアプリが終了する。

 

といったように、変換入門向けのシンプル・イズ・ベストな構成ながら、なかなかに使い勝手の良いソフトとなっている。何よりすべてが日本語表記で、なおかつ日本語名のファイルも何の問題もなく変換してくれるのはかなり嬉しいところ(海外のGUIツールやコマンドプロンプトを使う場合、日本語名のファイルは受け付けられないことが多い)。

その他にもセットアップ不要でレジストリを弄らないzip形式採用、変換後のファイル名が重複する場合は自動で回避、デスクトップにショートカットを作り、そこにファイルをD&Dするだけのコマンドライン・ダイレクト変換に対応(設定は最後に記憶されたものを自動適用)と、ビットレートをより細かく設定したい、特殊なオプションを使いたいというコアなユーザーでなければ、まさに至れり尽くせりの仕様と言えよう。

 

 

" + __flash__argumentsToXML(arguments,0) + "")); }" reinitswf="function () { return eval(instance.CallFunction("" + __flash__argumentsToXML(arguments,0) + "")); }">

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2010年8月25日 (水)

動画ファイルの音量を平滑化してみる思索

 

 前置き 

地デジなどのテレビ番組では一応平均的な音量が決まっているとは言え、やはり番組によっては音量の小さいものから大きなもの、中には音量の最大~最小差が大きく視聴中でも音量の上げ下げが必要なものすら存在する。

今までは自分に“優先すべきは原音に忠実であること”と言い聞かせ、特に音量部分には手をつけずに来た。が、現在放送中のアニメ「今日からマ王」や「PEACE MAKER鐵」がどうにも聞きづらく、また録り逃し回をDVDで補完しようとするとどうしてもその分だけ地デジ番組との音量差が(思いのほか大きく)出てしまうため、いい加減なんとかしようと思い立ち今回の思索へ。

 

 地デジの平均的な音量に合わせる方法 

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使うソフトはSoundEngine Free(フリーソフト)。なお普段からこのようなソフト使ってWAVを弄り回している人にしてみれば、「何を当たり前なことを」と感じるような超基本的なことしかやっていないので、初心者以外は問答無用に引き返したほうが吉。

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まずは何より先に、ファイルを読み込むと自動再生してしまう機能を停止させておく(いちいち再生されてもアレなので)。方法は上記の通り[設定>演奏>開くと同時に再生]のチェックを外すだけ。

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次にグラフとメニューの間にある編集タブの[解析]を押し、TSであればBonTsDemuxなりで分離した、音量調整したい目的の音声ファイル(wav)を画面内にD&D。するとそのファイルが読み込まれ、自動的に解析が行われるので暫し待つ。

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こんな感じの画面になったら、まずチェックすべきは解析結果のオートマキシマイズ平均音量。これが実際に聞こえている音量レベルの指標であり、自分が調べたところテレビ番組は平均で-22.00前後であった。上記サンプルファイルは-19.70なので、他の番組に比べ音量が大きいことが分かる。

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そこで[音量>オートマキシマイズ]をクリック。なおこの項目は、解析を行わないとグレーアウトしており選択できないようになっている(ノーマライズでも似たようなことが出来るが、こちらは最大音量を揃えるだけなので、実際の視聴音量は揃わない可能性がある)。

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出てきた設定画面でレベルを-22.0に設定し、OKをクリック。

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オートマキシマイズ処理→処理結果再解析と行われ、上記が終わったところ。オートマキシマイズ平均音量が-19.70から-22.00へ変わっており、それに伴い最大音量と平均音量も変わっている。必要に応じて編集タブの[再生]にて視聴を行い、問題ないようなら保存ボタンクリックで完了。あとはエンコード編集時に読み込ませるなり、TMPGEnc MPEG Editor 3のMPEGツールを使って映像(m2v)と合成させるなりご自由にどうぞ。

 

 同ファイル内の音量差を少なくする方法 

要は最大音量と最小音量に差があり、場面によってセリフが小さすぎて聞きづらい、またいきなり大きくなって困るというときの対処法。

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今度は解析する必要がないので、起動してそのままD&Dでファイル読込→[音量>コンプレッサー]をクリック(こちらもリミッターが似たような機能を持つが、小さな箇所を底上げしつつ大きな箇所を下げたい、ということでコンプレッサーを選択)。

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とは言え不自然にならない範囲で仕上げたいということで、今回はリミッター的な要素も兼ね揃えたソフトリミッターを選択しOKをクリック(スレッショルドが-15だとあまり効果がない場合も多いので、状況に応じて要設定。-18くらいまでは下げた方がいいかも)。

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あとは先ほどと同様にコンプレッサー処理が始まるので、作業バーが完了するまで待った上で保存ボタンをクリックして完了。

 

 最後に一言 

使いこなせれば更に設定を煮詰めたりスクリプトやらで作業を効率化したりも出来るが、とりあえず上記でもある程度自然な補正結果が得られると思う。もしこうした音量問題で困っており、適当な解決法が見つからないようなら、是非一度試してみて欲しい。

 

   

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2010年8月22日 (日)

【Panasonic】プラズマテレビ 3D VIERA TH-P50VT2

 

 前置き 

購入したのはもう2ヶ月以上も前になるのだが、値の張るものだけに適当なレビューは書きたくないと思い、今までじっくりと必要な情報(写真やら気になった点やら)を集めてきた。8月に入ったあたりであらかた集まったことを確認し、ようやく一段落つける頃合いになったこともあり、一気にまとめ上げてしまおうということで今回のレビュー。

なお以前書いたHYUNDAI W241DG長編レビューのように複数に分けようかとも思ったが、“一気に”ということもあり、今回はこの記事内ですべて書ききってしまおうと思う。よって少しまとまりに欠けるかもしれないが、その点はご容赦いただきたい。

 

 外観 

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まずは外観から、ということでメーカーロゴと電源ランプ部のアップ。パナロゴは他モデルと同様のメタリックシルバーで、その下に型番印字、電源ランプと続く。電源ランプの光量はテレビとしては普通だが、真っ暗にするともう少し下げて欲しいと思う時も。

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その他各種ロゴ一覧。上から順に左上、右上、下中央やや右(電源ランプからやや離れて右)に印字されている。全体的にあまり主張してはいないものの、画像中央の3Dロゴは別に独立させなくてもよかったのではないかと。

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賛否両論のあるブラウンフレームだが、家庭環境ならほとんど黒にしか見えない。量販店で見たときは指紋ベタベタ状態ということもありかなり微妙な印象だったが、実際設置してみるとむしろ真っ黒よりどこか上品な趣がある(気のせいかも ;^_^A )。

ただ色はともかく、↑の継ぎ目?みたいなものはいただけない。製作工程の都合か、はたまたデザインの一部なのかは知らないが、どうも継ぎ目消しを忘れたプラモを連想してしまい高級感に欠ける。

Photo

最後に映り込みも検証。VIERAのパンフをフレームとパネルに半分ずつ映るようにして撮影した。謳い文句通り「低反射ディープブラックフィルター」の反射低減率は素晴らしく、フレームにくっきり写りこんだパンフの文字もパネル部分では判別すら難しい。実使用においては、それが顔だと分かっても誰なのかはわからないといったところ(蛍光灯下、全黒画面において)。

 

 視聴環境比較 

大まかに分けて蛍光灯下、間接照明下、深夜照明なしの3パターンを、アニメと実写でそれぞれ行った。何はともあれまずは画像を見て欲しい。※映像メニューはすべてオート(デフォルト)で統一。

【アニメ:蛍光灯下】

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【アニメ:間接照明下】

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【アニメ:深夜照明なし】

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【実写:蛍光灯下】

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【実写:間接照明下】

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【実写:深夜照明なし】

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画像は出来るだけ実際の視聴時に近いものを選んだ。様々なシーンでの見え方も参考になればと思い、あえて異なる作品、異なるシーンを用意しているので、厳密には比較ではなく雑感に近いと思う。

種火ゼロではないので、さすがに深夜照明なし環境で暗い場面がくると辛いものがあるが、間接照明下であればぐっと引き締まった“理想的な黒”を得られる。その他の要素では照明なしが映画としては理想であったが、総合すると間接照明下が最もバランスのいい環境であるように感じた。

なお蛍光灯下では上記環境よりいくらかあっさりした印象だが、よく店頭のような異常な光源下で見られる色の変化(全体的に白っぽく見えてしまう現象)はほとんどなく、輝度もマックスでは眩しすぎるくらいだ。

 

 黒浮き検証 

この機種の情報を探るとかなりの確率でヒットするのが「種火ゼロ(予備放電レス)でない=KUROより劣る」という図式。正直なんで故KUROとの優劣問題になっているのかがよくわからないのだが、上記でも述べたように確かに黒は浮いているため、以下はその客観的評価ということで。

Photo_8

一応普通に撮ってみたが、コンデジではかなり設定を詰めないと浮いている黒は表現できない(=全部黒に写ってしまう)。よって普通に撮った後、ガンマ補正を加え実際に見えている状態に近くしたのが下の画像。それなりに黒が浮いているのはわかると思う。

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が、問題はこの後。どこにも情報がないのでこれが機能のひとつなのかわからないが、(自分は初期不良で2台の50VT2を体験しているが、そのどちらも)全黒画面を検出するとややタイムラグがあった後完全な種火ゼロ状態に切り替わる現象が見られた。画像はその時の状態を上記同様に撮り、ガンマ補正をかけたもの。こちらでは電源ランプが入(緑)状態にもかかわらず、電源切状態のように完全に黒が沈んでいるのがわかると思う。

しかし「これがメリットか」と言われるとそうでもなく、切り替わりが不自然すぎて違和感があり、また同じ全黒画面でも切り替わる時と切り替わらない時があるなど非常に不安定。何かの誤作動のような気もするが、全黒でなくなった瞬間普通に戻るし、2台とも同じ症状が確認できたので仕様のようにも思える。エコ系はすべて切ってあるが、もしかしたら省電力機能のひとつであるのかもしれない。

(追記)

2chにて42V2でも同症状を確認、ワットチェッカーで検証してくれた人によると、通常の黒表示時の消費電力が48Wであったのに対し、種火ゼロ状態では46Wであったとのこと。消費電力は僅差であるため、省電力機能というより単にコントラスト測定目的の機能である可能性もあり。

 

 映像メニュー[スタンダード]の問題点? 

ちょっとおかしな点繋がりということで、上記種火ゼロ?問題に続き映像メニュー[スタンダード]でも気になった点があるので、ついでに述べておこうと思う。

Photo

上の画像は全白画面(なぜか白くないがw)を接写撮影したもの。画像を見てもらえば分かると思うが、デフォでオンになっている明るさオートを切ると、どういったわけか途端にザラつきが酷くなる。これも交換前のものと共に見られた症状だが、スタンダード以外の映像メニューでは発生していない。

そのため一般使用において問題となることはまずないと思うが、ノイズ除去系の設定を弄ったわけでもないのに、しかもスタンダードでのみ起こるというのはなんとも不可解な現象であり、どこか釈然としない気持ち悪さが残る。

 

 映像遅延テスト 

微妙な空気になってしまったのでここで一時方向転換。

CRTモニタやビデオカメラは持っていないので簡易的なものだが、ここの「CRTを使った計測の仕方」を参考に、映像遅延およそ1.5フレームとされている液晶モニタ「W241DG」を使って映像遅延をチェックしてみた。

Dscf5063

上(後ろ)にあるのがTH-P50VT2で、下(前)にあるのが比較用のW241DG。入力信号はHDMI1080p、映像メニューはオート(デフォルト)にて全部で20回ほど行ったが、その平均的値かつ数字が読み取りやすいものを4つ挙げてみた。

…まさかのモニタ以上の低遅延( ̄Д ̄;;ハワワワ 中にはtest4のようにモニタ-1.5フレームというものもあったが、ほとんどがモニタ-1フレームであったため、結果として遅延は1.5-1=0.5フレーム前後、誤差があったとしても1フレーム内には収まっていると思う。

→何分初めての計測なもので、度重なる訂正申し訳ない(*_ _)人 コメントで指摘してくれた人がいて、どうやらモニタより1フレーム(test4は1.5フレーム?)遅れている模様。よって結果は1.5+1=2.5フレーム…ということらしい。

人がゲームなどで体感できる遅延は4フレーム前後からと言われているので、結論としては「ほとんど遅延なし」でいいように思う。

(2010.8.29追記)

環境を晒して欲しいとの要望があったので。

接続はPCのDVIからVT2のHDMI2とW241DGのDVIへ直接繋ぎ、F200EXRでシャッタースピードを1/60に固定して撮影。VT2の画質設定は映像メニュー=オート以外すべてデフォルト設定…だったはず。

 

 ズーム表示検証 

4:3の映像もまだまだ残る昨今、焼き付き対策的にもプラズマのズーム表示は重要なものとなっている。まあそれもほとんどがサイドマスク(両端の黒枠部分をカットした上でグレー表示することで、部分劣化を防ぐ機能)だけで事足りるわけだが、やはりこのデカい画面を一部しか使わないのはもったいない!ということで、それ以外の全画面表示の使い心地を検証してみた。なお本来は4:3の映像に使う機能であるが、今回は精細度チェックも兼ね16:9のHD映像を使用している。

Photo_11

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タイプとしてはこの3つで、意外に使えるなと思ったのがジャストズーム。アス比か狂うのであまり使いたくないのは確かだが、それでもこれまで自分が体験してきた中では違和感が最小限に抑えられており、歌詞やテロップを画面内に収めつつ無難な画を映し出している。さすがに横スクロールは途中ビヨーンと伸びる感じがあるものの、それ以外は普通に見れる印象だ。

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こちらは文字部分を拡大表示したもの。ジャストズームの歪みの程度もこれでなんとなくわかると思うが、特筆すべきはズーム表示時の精細さ。超解像の技術も応用しているのか、ズームしたことによる目に見える劣化(ボケ)がほとんどない。

まあ所詮コンデジ撮影なのでこれだけで判断しろというのもアレな気はするが、少なくとも「粗が目立つから、もともとの映像を楽しみたいからズームは使いたくない」ということはあっても、「ボケるからズームは使いたくない」ということはないように思える。

 

 3D映像評価 

Dscf5073

この機種の(一応の)目玉である3Dだが、コンテンツがない以上評価はほとんど保留状態。それでもデモを観たり、数少ないPS3の3Dゲーム『WipEoutHD』をやった限りでは期待してもいいのではないかと感じている。

巷でよく皮肉られる「紙芝居」的なイメージも、それなりの数のデモを見てきた身としては作り手次第だと感じているし、実際WipEoutHDでもそれを確信できた。残念ながらクロストークは予想より目についたので、改善点を求めるならそこと、あとは明るさだろう。

まずはコンテンツの充実が最優先事項だが、自分としては海外の勢い同様日本でも廃れること無く進化していって欲しい部分でもある。

(2010.11.27追記)

キャンペーン商品のアバター 3Dが届いたので、その雑感ついてはこちらに記載。VIERAの3D画質設定についても触れているので、アバターに興味がないという人でも参考になる部分はあると思う。

 

 視聴距離からG音や焼き付きなど雑感 

視聴距離は2.0~2.5m(実測2.3mあたり?)。1.5m前後までは普通に視聴できるが、ここまで近付くと地デジの粗さが気になり出す。1.0mあたりになると気分が悪くなり視聴不可能に(実際吐きそうになったorz)。パネルの高さ×3という最適視聴距離は映画をじっくり観るにはベストだと思うが、“最適な距離”というよりは“最低限取った方が良い距離”として捉えたほうが万人向けのように思う。

A

視聴環境はというとこんな感じで、間接照明がすぐ後ろにあるためかプラ膨張による軋み音はこの季節でも普通に発生するが、ジー音(G音)は通常視聴時ならほとんど気にならない。ただし交換前のものは吸音材導入やら設置場所変更やらを本気で検討するほど酷かったため、個人差と共に個体差もやはりあるのだろう。

また今使っているものは気にならないとは言え、聞こえるか聞こえないかと言われれば「聞こえる」であり、画質設定や映し出される映像、果ては頭の位置を微妙に変えただけでもかなり音の傾向が変わってくることは確認出来た。

B

アバウトではあるが、印象としてはこんな感じだろうか。あくまで素人考えだが、ジー音とはパネル発光時に発生する指向性のある高周波ノイズであり、上のような間隔の狭い壁に前後を挟まれた上、真正面に顔が来るような環境がもっとも気になりやすいのではないかと思う。自分の環境がまさにこれ(しかも壁は鉄筋コンクリ)で、上記画像の「ちょっと気になる」の位置が交換前のものでは文字通り気になり、交換後は同位置でもさほど気にならなくなった、ということになる。

(2010.8.29追記)

2chにて、(TH-P50V2ではあるが)ジー音の酷い個体に当たりその動画をアップしてくれた人がいたので、そちらも紹介しておく。※この動画はアップ主の許可を取った上で掲載しています。ID:n77JnZLn0氏に感謝。

良個体にしか当たったことがなく、ジー音がどういったものかよくわかっていない人は参考にするといいかもしれない。(マイク経由でない)実際の音はこれより少し高周波気味であり、ここまで酷いものはさすがに稀だろうが、確かにこんな感じの音ではある。

焼き付きに関しては、未だ残像すらほとんど体験していない状態(気をつけてはいるが、特にエージング等はしていない)。ただ未体験というわけでもなく、PS3で30分以上一時停止の || を表示していたらそのまま残ってしまったことが一度だけあった(1時間映像を流していたら自然と消えた)。サウンドノベルのようなゲームもやったが、こちらは1時間やっても残像は残らなかったため、映像メニュー[ダイナミック]で表示したり || のようなはっきりくっきりしたものを長時間映さなければ、さほど神経質になる必要もなさそうだ。

 

 参考になった2ch情報抜粋 

2chのパナスレ(プラズマ)にはかなりお世話になっており、その時に参考になった設定報告をいくつか紹介。2chは情報の流れが速く見逃してしまった人もいると思うので、初めて見たという人は要チェック。

【HiVi CAST(BD版)を使用してのVT2画質調整結果その1(暗室時)】

再生機種はPS3です。基本的にPS3の映像メニューは、初期設定のまま。スーパーホワイトと、deep colorは入れてあります。フェライトコア加工済み、HDMI1.4ケーブルです。

映像メニュー…ユーザー
ピクチャー…0
黒レベル…5
色の濃さ…-3
色あい…1
シャープネス…0

後は、ユーザー設定の標準から変更はしていません。これで映画関係者が意図した画質に極めて近い状態になるとの事。暗室での画面精度と黒レベルは限界値をマークしています。

【HiVi CAST(BD版)を使用してのVT2画質調整結果その2(暗室時)】

50VT2にPS3をHDMI1.4を接続して、設定しました。スーパーホワイト、deep colorはon。RGBはVT2側はエンハンス、PS3側はフル設定です。

映像メニュー…シネマ
ピクチャー…0
黒レベル…4
色の濃さ…-6
色あい…1
シャープネス…0
色温度…中

その他は、シネマ標準設定のままです。テクニカルも調整していません。調整する必要がありませんでした。ピクチャーは視聴される明るさに応じて、0~最大まで、お好みでよろしいかと思います。シャープネスは、最大と最小の差が自分の肉眼では分からなかったので、0にしておきました。

【番組表をすっきりさせる方法(同局が複数表示されていた場合の対処法)】

Q.番組表で、同じ局が3つくらい表示されてたので、番組表→表示内容→設定チャンネルにしたらすっきりしました。ただ、一回ごとに元に戻ってしまい、ずっとこういった表示にするならどうすればいいんでしょうか?

A.システム設定→選局対象→設定チャンネル

 

 総評 

23461265935268_r_2今回のレビューは“他にはない濃い内容のものを”ということで、当たり前に言われているような点、写真ではわからないような点は極力省いて書いてきた。そのためメリットが少ないように感じたかもしれないが、デュアルスキャンによる階調表現の高さ(特に暗部表現)は目に見えてわかるレベルにあるし、発色の良さも非常に良好。色割れも個人的には気にならないし、種火ゼロではないものの、間接照明下なら黒の沈み込みもかなりのものであった。Blu-rayは当然のことながら、地デジやBSでも(特有のモスキートノイズやらブロックノイズさえ気にしなければ)それなりに理想に近い画質が得られたのは、個人的には嬉しい誤算。

カラーリマスターも好印象で常用しているが、過剰ではないものの地デジ番組などによっては少し不自然に見える時がある。印象としては赤や緑、黄色がより鮮やかになるよう設定された強めのビビッドといった感じで、紅一点のごとく局所的に赤い部分があったりすると、それだけがやや主張しすぎな感を受ける。基本はオンでいいかもしれないが、場合によって使い分けた方がよさそうだ。

映像メニューのオートは、ピクチャーを最大にしてやれば(そのままだとやや暗い感じ)それなりの鮮やかさを維持したまま状況に応じて自動調整してくれるので楽。ただ上のHiVi CAST設定を試してしまうとどうしてもそちらの方が良く見えてしまう(上記その1を使用、PS3以外に地デジなどもこちらの方が好印象だった)ため、個人的にはオートよりHiViの方をおすすめしたい。

以下はこの機種というよりプラズマならではの留意点だが、自分は最初液晶のホールド駆動のバックライトに慣れすぎていたせいか、普通に観ていてもプラズマ特有のインパルス駆動が若干チラついて見えた(2日で慣れたが)。またこちらはプラズマの特性なのかどうかも定かではないが、とりわけアニメでカメラがパンするようなシーン、動きの激しいシーンなどで、輪郭線が二重というか、やや尾を引いて見えるような感じを覚えた。

B

上記はあくまでイメージだが、液晶では残像としてボケていた線が、プラズマではくっきりしつつもブレて見えるような感覚。これが本来の画であり、液晶はボケで誤魔化されていただけの可能性も考えられるが、アナログ時代のブラウン管では感じなかった点なのでちょっと不思議な感じ。

 

…と、気になる点がないわけではないが、液晶と比較すれば断然プラズマの画の方が作品への没入感は高いし、VT2がそのプラズマの中でも上位に位置する画質であることは確かだろう。

新たにラインナップされた46型以下のモデルは「シングルスキャンの劣化版」から「42型は好印象」と意見はまとまっておらず、50型以上も価格.comでは未だまともな評価が少ないという悲しい状況にあるVT2シリーズだが、現在の価格なら間違いなく“買い”の機種だと言える。

 

 最後に…蛇足 

レビューの中で散々「交換したものは~」とか書いてきたので、最後にそのことについても触れておく。交換理由はズバリ「D端子不良」。どうも“モジュールA”なる部品がイカれていたらしい。で、結局初期不良期間ということもあり交換対応になったのだが、実は新しく届いた(今使っている)ものでも同症状が出ていたりヾ(ーー )ォィ

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個人的にはD端子も必須のため始めこそサポセンに即TELだったが、まあAVアンプのコンバート出力で急場は凌げるし、なにより対策で頭を悩ませていたG音問題が解消されたのが嬉しすぎて「ま、いっか」と。ちなみにその症状とは、D端子で接続していると不定期に(といっても平均30分に1~3回程度の割合で)画面が一瞬真っ暗になった後、右上に(入力切替時に表示される)「D端子」の文字が再表示され復帰するというもの。サービスマン曰く「一時的にですが、信号が完全に途切れていますね」とのこと。

接続機器を変えてもケーブルを変えても設定を変えても上記症状は現れ、何よりサービスマンも正式に不具合と認めているため、それが2度続けて起こるということは自分の買った6月頃のロットに問題があるのかもしれない。似たような時期に買ってD端子を放置している人は、保証が切れる前に一度チェックしておいた方がいいように思う。

 

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2010年8月19日 (木)

【オーム電機】ガラスシェード フロアースタンド(04-2910 LS-up-D アッパースタンド)

 

 インプレ 

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スタンドライトが入っているにしてはちょっと軽め。送料込3.000円ちょいで購入したが、この値段にしては意外な国内メーカー製ガラスシェードのアッパーライト。

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まずは台座から。安めのフロアライトによくあるチープさがなく、アクセントにゴールドリングを設けたマットなブラック。梱包状態では軽いように感じたが、これだけを持ってみると台座として十分な重さがある。

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スタンド部分。さすがにここは3本連結式だが、ガッチリはまり造りが粗いということはない。線は細めなため多少ぐらつきがあるが、この手のスタンドとしては許容範囲内だろう。

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シェード部分。購入の決め手にもなったガラス製で、この価格帯のアッパーライトはほとんどがペラッペラのプラスチック製のため、台座の質感も相まって高級感という点では群を抜いている。

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とは言っても値段なりの部分は当然あり、このガラスシェード、上手く固定しないと微妙に斜めになりやすく、微調整する際にスタンドの黒い塗装がガラス部分に付着してしまう。まあ目立つわけでもないし問題ないといえばないのだが。

※画像の黒い汚れはシェード取り付け時に付着したものであり、最初から付いていたわけではないので注意。

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電球取付部。一応東芝製の60W白熱灯も同梱されているが、今回はLED電球導入に伴う購入のためパナソニックのEVERLEDS LDA7L-A1を取り付けた。

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スイッチはこんな感じでシェード下に飛び出している。インテリアを突き詰めるとちょっと飛び出し過ぎのようにも感じるが、個人的にはだらんとぶら下がる中間スイッチよりはマシといったところ。ちなみに、電源はこれを右に回すことでエンドレスにオンオフが繰り返される。

Dscf5006

全体図。画像自体が斜めになっているのはこの際無視するとして(スミマセン、こうしないとピントが合わなかったんです><)、壁を見ると「これ垂直に立ってないんじゃないか?」と思うかもしれないが、実際垂直ではない。以前に似たような価格の調光式スタンドライトを買ったときも微妙に斜めっていたので、これも値段ゆえの弊害=諦めましょう的な部分なのだろうと割り切った方が良さそうだ。

また全長151cmと、アッパーライトにしては小柄な部類の製品のため、人によって良し悪しが分かれそうな印象も受ける。

 

 総評 

44371265935323_r一言で言うと「価格を考えればかなり丁寧な造りであるものの、細かな点ではやはり甘い製品」。ただこの手の製品に完璧を求める人はまずいないと思うので、それを考えれば満足度は高いと思う。

ややコンパクトなサイズではあるが、逆に背の低い家具で揃えている人にとっては貴重な存在だと思うし、平均的身長の日本人であれば覗き込みでもしない限り電球が丸見えになることはないので、人によってはオンリーワンになる可能性も秘めている。

微妙な傾き等除いたパッと見の良さだけならホテルにあっても違和感がないレベルにはあると思うので、下手な海外メーカーの格安アッパーライトを買うくらいならこちらにしておいた方が無難だろう。

 

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2010年8月17日 (火)

【ZEPEAL】サーキュレーター DKS-20

 

 前置き 

ありえないほどのこの暑さ。エアコンはほぼ1日中つけっぱなしという状態で、電気代がここ数年で最高潮に。しかも冷え性で常に腹の調子も不安定というおまけつき。

さすがにこれはヤバイと思い、ランニングコストより目先の出費で4年間購入をためらっていた扇風機…ではなく、サーキュレーターを購入することにした。

 

 インプレ 

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購入したのはゼピールとか言う名も知らぬメーカーのサーキュレーター。購入の決め手はAmazon.co.jpの高評価と1,980円という価格だったが、価格.comには登録すらされていないというなんとも微妙な存在。化粧箱も昨今のサーキュレーターと比べて明らかな昔臭さを放っており、おそらくAmazonがなかったら見向きもされずに消えていたと思う。

Dscf4775

早速開梱。梱包は意外としっかりしていたが、本体を覆っていたビニールが巧みに結ばれているのにはちょっと驚いた。テープ代すら惜しかったのだろうか。

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正面から。写真だとちょっと大きく見えるかもしれないが、実際はかなりのお手頃サイズ。イメージとしてはバスケットボールの大きさに近い。

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首振りなしのシンプル構造だが、傾きは真正面~ほぼ真上にまで手動調節可能。角度はカチッと固定される部位が4ヶ所で計5パターンだが、別に固定位置でなくともある程度状態は維持してくれる。

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背面。こちらからみると球体のような感じで、ミニサイズということもあってか意外とメカメカしさがない。真ん中にあるのが風量調節ダイアルで、その上の空洞が取っ手部分。

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調節ダイアルズーム。造りはシンプルでカチッカチッと回していくだけ。つまみは大きく適度な凹凸があるため、特段回しにくいということはない。

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正面中央のメーカーロゴズーム。ここだけ軽めの光沢処理がなされており、全体がマットなプラスチックだけに良いアクセントになっている。全体的にみると、製品画像で抱いていたイメージよりは安っぽくない印象。

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最後にちょっとひっくり返してみたの図。面倒だったのか底面だけマット加工されておらず、4隅に滑り止めゴムが貼りつけてある。下中央部の穴は壁がけ用。

 

 総評 

47251265935295_r_3導入をためらっていた理由にインテリア的な問題もあったため最初はタワー型扇風機を中心に調べていたたが、それでもあまりしっくりくるものがない。かと言って手軽すぎるUSBファンだとどうしても実用性に乏しい。そんな中目に止まったのがサーキュレーターだった。

前評判通りサーキュレーターにしては静音な部類で、“弱”でクーラー併用ならほとんど気にならず、“中”だとつけていることを意識してしまうが、これも雑音でテレビの音が(ryといったこともなく実用レベルであった。ただ“強”はさすがに「これぞサーキュレーター」といった音で、よほど広い部屋でなければ使うこともないだろう。軸音や個体振動はほとんどせず、純粋に風量に即した低周波の風切り音のみといった感じ(ただ正面から上に傾けると少し軸音がしたが、まあ気にあるほどではない)。

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設置場所はクーラーの向かい側の床直起きで、クーラーの出所に当たるように向きを調節した。真上にもしてみたがこれはあまり効果が感じられず、とりあえず真上は暖房使用時にまたやってみたいと思う。

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で、結果得られた空気の循環イメージはこんな感じ↑。“弱”を常用しているがそれでも結構な風量があるため、特段寒くなりがちであったクーラー付近や床付近の冷気が上手く拡散され、今まであまり冷気が行き渡らなかった部屋の隅も涼しくなった。部屋全体になんとなく風が吹いているようにも感じられ、29℃を超えると暑くてイライラしていた自分が今では30℃でも問題ないほど(クーラーの設定は今まで+2℃)。腹の冷えもなくなってサーキュレーターの有用性を実感している。

またこのサイズならではの手軽さも予想以上に活きている。片手でひょいと持ち上げられ、格子も成人男性ならまず指が入ることもないので電源を入れたままでも気楽に移動でき、使わない時や存在を隠したい時にはさっと物陰に潜ませることも。背の低さも扇風機では不可能な下からの風を可能としており、布団やローソファユーザーの自分には嬉しいところ。

扇風機の代替にも、ということでライトユーザー層向けに首振りやリモコンを搭載したモデルも出てきているが、あくまでサーキュレーターとしての基本性能一本に絞った上で余計な静音を抑え、安価を実現している点においては理にかなった製品だと思う。「扇風機は欲しいが邪魔臭い、かといってサーキュレーターというのも…」とためらっている人も1,980円ならお試し感覚で買える金額だと思うので、気になっているのなら一度手に取ってみてはいかがだろうか。

 

   

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2010年8月16日 (月)

【ONKYO】AVアンプ TX-SA608(ブラック)

 

 前置き 

今回の音周り環境改善の要、AVアンプ。

HDMI 1.4対応を前提にデノンやヤマハも考えたが、機能性を見ているとどうしてもオンキョーが同価格帯では一枚上手ということで、選択したのはTX-SA608。

 

 インプレ 

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まずは左から。今回はちょっと取り急ぎ的な感じで写真を撮ったため、ちょっと掃除が出来ていない。よってホコリがやや目立つが、まあそこは脳内補正ということで。

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右から。デフォで黒いアンプが出てきたのは結構最近のことだと思うが、AV周りの黒流行が影響してだろうか。自分としてはシルバーより高級感がありインテリア的にも○。ただ7.1chものはやはりでかい。

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パネル部分。今回のモデルからオンキョーでも接続機器名の変更が出来るようになったようで、とりあえずこんな感じにしてある。HDMI出力ならOSDでTV画面にメニュー表示が出るので、文字入力も簡単。本体パネル部だけでもすべての入力が行えるが、OSDだとメニューが日本語になっていることもあり、かなりとっつきやすい。

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パネルからちょっと左に目を移すとTHXの文字が。「無いよりあった方が」的な感じだが、THX認定モデルだったというのもこの機種を選んだ理由の一つ。まあ大方の予想通りほとんど活用してはいないのだが、自己満足度は高い。

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これは本体部だが、入力切り替えボタンがそれぞれ独立して存在するため、入力切替ボタンを何回も押すという作業が不要。リモコンにも同様の独立ボタンが存在する。

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ちょっと上を見るとパネルと入力切替ボタンの間にも細長いボタンがあり、ここには設定に関するボタンや音量調節ボタンなど主要なボタンが一通り密集している。中でも↑のリスニングモードは、他のアンプしか触ったことがないと若干戸惑う部分。MOVIE/TV、MUSIC、GAME、にそれぞれ適しているであろうサラウンドモードが割り振られており、逆に言うと適したボタンを押さなければ目的のサラウンドまでいけないわかりにくさがある(例えば、ドルビープロロジック2のMOVIEはMOVIE/TVでしか選べなく、STEREOはMUSICのみなど)。

これも同様のボタンがリモコンにもあるが、リモコンには上記3つの他、THXボタンも追加されている。

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端子を見てみると、左下部にヘッドホン出力がある。が、こうした機器によくあるものの非常に(そのまま)使う機会が少ない6.3mmステレオプラグ。大抵3.5mmミニプラグに変換する必要があるため、個人的にはあまり好ましくなかった点でもある。

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反対の右下部にはセットアップ用のマイク端子。これは付属の自動音場補正用マイクを取り付ける部分であり、ここに挿し込めば自動的にオートセットアップメニューに移行する。

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お馴染みの金色ONKYOロゴ。ここだけ金のためもうちょっと自重しろとも思うが、まああまり目立つというわけでもないので問題ないだろう。

 

 総評 

23461265935268_r ハード面はいいとして、ソフト面はサラウンドを中心として汎用技術ばかりが目立ち、実用性が低いものも意外と多い。スペック表では魅力的な機能で溢れかえっているが、いざ使ってみると「ないよりは(ry」なものばかりといった印象で、YAMAHAのシネマDSPのような“突出した使える機能”というよりは“質より量の詰め込みタイプ”といった感じ。

また2chのPCM入力に対して、THXサラウンドでなぜかDTS Neo:6とTHX Gamesの組み合わせだけが選べなく、代わりにTHX Select2 GamesとDolby Pro Logic IIの組み合わせが可能となっていたりと、組み合わせのわかりにくさも気になった(DTS Neo:6とTHX Cinema or Musicの組み合わせは可能、逆にTHX Select2 Cinema or Musicは2ch入力時は表示すらされない)。ただし多くのサラウンドでドルビープロロジックII or DTS Neo:6を組み合わせられる仕様は好印象。

個人的に使用してがっかりした例としては、Audyssey周りのDynamic~の過剰演出や独自機能のなさにも起因するマルチPCM音声にかけられるサラウンドの少なさ、手動での各スピーカー音量調整時や自動音場補正時に鳴るかなり五月蝿い音の大きさを変更できない点など。これらに関しては“とりあえずあるものを詰め込んでみました”的な雑さが感じられ、ONKYOならではの細かな配慮がもう少し欲しかったように思う。他にデコーダーやサラウンドが切り替わるたびに「パチッ」という音がするのは仕方ないとしても、設定を変更していない視聴中も不定期にこれが生じるのはどういうわけかいささか疑問に感じる。

と、あまりネガティブな意見を見ない製品だけまずはざっと感じたマイナス面を書いてきたが、当然良い部分も多い。基本的な音質に搭載端子の豊富さ、HDMI1.4&ARCへの対応、切り替え式だが9.1ch同時接続可能(ただし9.1ch同時出力は不可)など、値段に反して挙げていったらキリのない豪華仕様は、最終的に前述したマイナス面を補って余りある魅力となっている。前機種と比べてみても、THX認証を始めとしてあらゆる入力をHDMI/1080pに変換出力できるようになっていたり、入力機種名の変更も可能になっていたりと、確実に進化していると言えるだろう。廉価機種で問題になっているファンによる騒音も感じない。

またリモコンも意外と使いやすい。これも先にやや述べているが、とにかく独立したボタンが多く、やりたいことが極力少ないボタン押数で出来るような工夫が見られ好印象。TV用の汎用リモコンとしても併用できるが、そのせいでAMPボタンとTVボタン、現在どちらに切り替えられているのかがわかりにくいのが唯一の難点か。価格.comのレビューでは操作性項目の評価が低いので、このリモコンは人によって評価がわかれる点でもあるように感じる。

とりあえず2週間ほど使ってみた感想としては「AVアンプとしての基本性能は◎、ただし付加機能についてはあまり期待をしてはいけない」といったところ。7畳程度の環境だが3地点から総合計算する自動音場補正は比較的良好だったので、(微調整はする必要があったが)設置は楽に行えるだろう。ただ自動音場補正中はかなり静かな環境にする必要があり、その中でかなり五月蝿い音が10分以上定期的に鳴るため、マンション暮らしの方は時間帯と壁の厚さに注意が必要かもしれない。

 

(2010.8.16追記)

使っていて気になる点があったので追記。規則性はよくわからないものの、PS3にてDolby Digital 5.1chをマルチPCM変換伝送した場合、稀に各スピーカーから出力される音が細くなることが数回あった。アンプの電源入切にて元に戻ったためさしたる問題ではなかったが、もしかしたらマルチPCMデコード時やデコーダー切り替え時、一時的に出力が不安定になる場合があるのかもしれない(PS3側の問題の可能性もあり)。

 

(2010.9.28追記)

用途としてあまり考えていなかったためヘッドホン出力はほとんど放置状態だったのだが、何かの拍子にふと聞いてみたくなったので追加レポ。

…なんでスルーしてたんだ俺orz

ヘッドホン(というかイヤホン?SONYのMDR-EX500SLを使用)はポータブル機くらいしか使ったことがないので、当然ヘッドホンアンプなるものとは比べようがないが、それでも当時かなり感動した記憶があるSONYのWalkmanより、普通に違いがわかるレベルで音質が向上した。

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ホワイトノイズ含めたノイズ系が皆無なことはもちろん、原音に忠実ながらヒップホップ系の曲ではより抑揚感が増し、バラード系の曲では余韻というか、音の伸びにより艶が出た印象。比較的小音量で鳴っている楽器の音も聞こえる精細感で、本当に音が消えるその瞬間というものがわかる。ぶっちゃけ「ここまで音が伸びていたのか」と感じたのは、デフォで使うコーデックを変えたとき(mp3→aac→wav)と、iPodからWalkmanに変えたとき、そして付属イヤホンを高品質なものに変えた数年前以来だと思う。

ちなみに今回はCDをPS3で再生しHDMIにて伝送、アンプ設定はPure Audioにて試聴。さすがにヘッドホン出力主体で数万もするヘッドホンアンプよりは劣るかもしれないが、スピーカーもSONYのSS-F6000で満足している自分には十分すぎる音だった。これまで、イヤホンで音楽を聞くときは家にいてもポータブル機をそのまま使っていたので、今後はこちらを主体にしていきたい。

 

   

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2010年8月14日 (土)

【映画】サマーウォーズ

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 作品情報 

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劇場公開  2009年8月1日
TV放送  2010年8月6日/日本テレビ/HD画質

 

 インプレ 

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主人公は大学生、舞台はあこがれの先輩宅という、なんとも羨ましいながらもよくあるシチュエーションで物語は始まる。基本は現代に即しているが、唯一ネットの仮想現実技術が経済の基盤にまで発展しているという点が異なる。

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仮想現実世界ではほぼすべての人が実世界と同程度の権限を有したアバターを所有しており、どちらかと言うと近未来寄りの現代と言った感じ。近未来が舞台の作品ではよく「ヒトの作り出したAIがヒトに牙を向く」という展開があったりするが、この作品もそれに漏れず。便利になりすぎた世界に内在する危険性について、寓話ライクな側面を併せ持っている。

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とは言ってもそれはあくまで間接的であり、作品の展開としてはネットを介す近未来像より、むしろ昔ながらの、田舎に住む人々の日常風景が中心。これがこの作品の独自性とも言えるべきところであり、一見相反する未来と過去の要素を上手く配合させることで、万人受けしやすいわかりやすさと、今までにない新鮮さを両立させている。

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物語が大きく動くのは後半から。前半では完全に田舎思考だったゆったりとした流れが、ある出来事を堺に徐々にスピードを持ち始める。振り返ってみると結構急にサイバーな展開になっていたような気もするが、視聴中特に不自然さを感じなかったのは、要所要所ではきちんとネット外の実生活も並行して描かれていたためだろう。

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田舎が舞台ということもあり、普及したとは言えネット社会に疎い人間も多い。こうした実世界にも通ずる点は他にもちらほらと見られ、視聴者が置いてけぼりにならないような細かな配慮が感じられる。また“危機的状況下において人の繋がりがどれだけ大きな力となるか”という比較的オーソドックスなテーマも描かれるが、それをありきたりに感じさせない演出力も見事。

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そして最後は完全なハッピーエンド。「便利すぎる道具は諸刃の剣」「冴えない男が見せるカッコよさ」「オラに力を分けてくれ的な締め」など、振り返ってみるとやはり“ありきたり”と言われるような結論に辿り着いただけの感は否めないものの、作品の価値はそこ(結論)ではなく、そこに行き着くまでの過程の集大成こそが作品なのだということを、今回再認識させられた。

最後の最後は、被害の大きさからしても「いや普通に逃げとけよw」と内心突っ込んだりもしたが、まあそれはそれ。最近のジブリ作品みたいに、あからさまに何かを訴えようとして結果よくわからない意味深な空気で終わるより、こうしたオーソドックスな、伝わりやすい要素をふんだんに使った上で、それをオリジナルのものへと構成、昇華させる方向性の方が自分は評価できる。

同スタッフ陣による「時をかける少女」も個人的には大ヒットした作品のひとつなので、ジブリに続くアニメ映画の代表として是非とも確立して欲しい。

 

   

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2010年8月 7日 (土)

【SONY】サブウーファー SA-W3000

 

 前置き 

トールボーイスピーカー「SS-F6000」センタースピーカー「SS-CN5000」、ブックシェルフスピーカー「SS-B1000」ときて、最後はサブウーファー。

こちらも最初はデザインや設置スペースの観点からヤマハの「YST-FSW050」を選んだわけだが、センタースピーカー「NS-C310」から「SS-CN5000」への置き換えに伴い、どうせならとソニーの上記シリーズですべてを揃えることを決意、実行した。

※ケーブルはNS-C310の付属ケーブルを流用、インシュレーターにaudio-technicaのハイブリツドインシユレーターAT6089CKを使用しての評価となります。

 

 インプレ 

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元箱からしてかなりのインパクト。見た目通りのデカさ&16kgという重量級。

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箱から出すのも一苦労。底を持てなかったのでサイドを掴んで「おいしょっ」と持ち上げたのだが、あまりの重さから床に下ろす直前手が滑って「ドスン」。数cmの高さだったが、正直肝が冷えた。

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ユニット部。同シリーズだけあって「SS-F6000」「SS-CN5000」、「SS-B1000」と見た目や素材こそ類似しているものの、300mmのコーン型ウーファーはやはり圧巻。こちらはサランネット取り付け部がユニット周りの金属部品として存在しているため、プラスチッキー全開な他のものよりは、いくらかチープさが緩和されている。

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ロゴ配置も他のものと違い、これだけサランネットではなく本体下部に直付け。SONYの文字が光る。

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ちょっと目線を上に持ってくると、そこにあるのはパワーインジケーター。上がオートパワーオフ(スタンバイ)時で下がパワーオン時。特に眩しすぎることもなく、オート機能を使用せずに電源を切ると消灯する。

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ちょっとひっくり返してみたの図。底面には特に防振材などがあるわけでもなく、シール式の陳腐なクッションが付属しているのみ。場合によってはインシュレーター等導入してやった方がよさそうだ。

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背面部。1/4程度が丸出しのプラスチックとなっており、シートとは言えそれなりに見える木目調部分とのギャップが目立つ。もちろん質感もプラスチッキー全開でチープさ爆発。端子やボタン類は右サイドに集約されている。

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下から画像左上、右上、左下、右下の順に撮影。左上=電源ボタン、右上=スピーカー入出力端子、左下=ライン入出力端子&オートパワーオン/オフスイッチ&位相極性切替スイッチ、右下=周波数カットつまみ&音量調節つまみ。

これだけの機能性を備えながら、値段はやはり廉価クラスの18,000円ほど。このシリーズの異常なコスパはサブウーファーでさえ例外ではない。

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最後におなじみシートの継ぎ目…と思いきや、なんと普通に木を黒く塗りつぶしただけ。おそらく表面の木目調自体はシートを貼っただけだと思うが、サブウーファーに関してはその痕跡がほとんどなく、背面に飛び出たプラスチック部以外は比較的まともな印象。

 

 総評 

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まず肝心の音についてだが、驚いたのはその独自性。「NS-C310」や「DHT-M370」のサブウーファーとも違う、更に言うなら自分が今まで聞いたどのサブウーファーとも異なる、非常にまろやかな印象を受けた。

インプレッションに頼る部分が大半を占めるために言葉だけでは実感しづらい部分だと思うが、あえて言葉にするなら「自然に溶け込むような音」「力強く響き渡り、それでいて遅れた感じもない広がりのある音」といった感じだ。今までは特に感じたこともなかったが、この音を感じた後だと(このサイズに比べれば割とコンパクトな)多くのサブウーファーの音は、良く言えば「鋭くスピード感のある音」、悪い言えば「どこか不自然に強調された音」といった印象を受ける(具体例として爆発音を挙げるなら、両者とも重低音独自の空気を震わす感は共通しているものの、前者はあくまで表現の一部として素直に臨場感を盛り上げているのに対し、後者ではそれだけが独立してオーバーリアクションをとっているような、怖い話でいきなり大声を出されビクッとさせられるような感じ)。“大きな個体だからこその音の響き”という表現は同シリーズの他のものでも使ってきたが、今回それがサブウーファーも例外ではないことを実感する形となった。

また、自分の7畳程度の環境ではウーファーとの距離が近すぎるせいもあってか、本来重低音では存在しない指向性も稀に感じてしまう(どこから振動が発生しているのか、なんとなくだが認知できてしまう)ことがあり、それが違和感に繋がることもあった。しかしSA-W3000では、スペースの関係で今までで最も近いソファーの真後ろに配置しているにもかかわらず、それがまったくわからなかったという点も大きい。特段意識しないと気にしない点ではあるが、一度体験してしまうとこの何とも言えない包み込まれるような、音の深みに飲み込まれるような没入感は忘れがたいものがある。

機能性にしても、(このシリーズすべてに言えることだが)当時この価格帯を打ち出したソニーは一体何を血迷っていたのだろうかと思うほどの豪華さだ。最大200Hz~最小50Hzのハイカット(ローパス)機能が当然のようについているのを始めとして、オートパワーオフ(スタンバイ)機能、通常のライン入力の他、出力に加えスピーカーの入出力も備えている。とどめは位相極性の切替機能だ。実際このクラスのサブウーファーでここまで多くの端子やらスイッチやらを目にしたのは、これが初めてのような気がする。

…と、ここまでつい手放しに褒めちぎってしまったが、それだけ自分にとって衝撃的な製品だったということでもある。一応レビューする上で「どんなに良いと思っても、(無ければ無理矢理にでも見つけて)悪いところも指摘すべし」をポリシーとしているが、この製品は悪いところを探すのが本当に困難であった。まあそれも背面の安っぽさ、置き場所に困るサイズ、移動すら困難な重量という、少し製品の本質からは離れた問題ばかりで、使用上の難点にしてもオートパワー機能の誤爆というオーソドックスなものにとどまる。

なおこのオートパワー問題だが、LFE信号があっても出力が弱いシーンが続くとスタンバイ状態に入ってしまい、その際(オンオフ切替時)アンプのサラウンド切替時ライクな「カチッ」という音がするため、あまり頻繁に入切が繰り返されるような場面では少し気になる、というものだ。ただLFE信号キャッチ→パワーオンへの移行はかなり敏速に行われるため、音の繋がりという点においてはそれほど違和感がなかった。オートスタンバイ機能を切ることも出来るので、基本はオートで、状況に応じてオフというが最も利口な使い方だろう。

何はともあれ、このスピーカーを導入するうえで一番のネックになるのはやはりサイズだと思うので、“その問題をクリア出来る”ということが前提になるだろうが、これまでにないサブウーファーを、より自然な重低音を、という人にはぴったりな製品だと言えるのではないだろうか。

 

 

 

   

   

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2010年8月 5日 (木)

【SONY】センタースピーカー SS-CN5000 & ブックシェルフスピーカー SS-B1000

 

 前置き 

ソニーのトールボーイスピーカー「SS-F6000」の導入に伴いヤマハのセンタースピーカー「NS-C310」も導入したわけだが、当初こそアンプの自動音場補正で妥協出来ると感じたものの、やはり音傾向の違いはそれなりに違和感を覚える。

買った以上1ヶ月は上記環境で使用してきたものの、どうしても気になってしまうため、いっそソニー「SS-F6000」と同シリーズですべて揃えてしまおうということで今回のレビュー。

なおサラウンドスピーカーはこれまでお古の「DHT-M370」の付属スピーカーを流用していたが、これを機にこちらも同シリーズに置き換えることにした。

※ケーブルはaudio-technicaのGOLDLINK Fine、インシュレーターにこれまたaudio-technicaのハイブリツドインシユレーターAT6089CKを使用しての評価となります。

 

 インプレ 

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商品到着。同シリーズだけあって元箱デザインも酷似している。

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早速開梱。こちらがセンターの「SS-CN5000」。さすが「SS-F6000」と同シリーズだけあって普通にデカイ…。

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ユニット部接写。130mmコーン型ウーファー×2に25mmバランスドーム型トゥイーター×1の豪華仕様だが、これでなんと8,000円程。

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でもってブックシェルフの「SS-B1000」。これも同価格帯のブックシェルフと比べたら驚くほどの大きさで、サラウンド的位置付けではあるが壁掛けや天吊りは困難を極める(というか不可能?フック掛けるところもネジ穴もないし)。

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一応こちらもユニット接写。仕様は上記「SS-CN5000」よりウーファーが1つ減っただけで、ほぼ同様。問題の値段は、「SS-CN5000」より更にお得な2台1組6,000円(1台あたり3,000円)。

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ケーブル接続部。さすがにここは値段相応で、「SS-CN5000」「SS-B1000」共にプッシュ式。

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で、最後にこのシリーズお約束のコスト削減跡、木目調のシートを貼っただけの継ぎ目も健在。とは言え、ここ以外のパッと見は「これがシート?」と思わせるだけのリアルな質感。

 

 総評 

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同シリーズで揃える上で一番の気がかりだったのがセンター「SS-CN5000」の情報の少なさと、その評価内容の微妙さ。最もオーソドックスなカカクコムのレビューでも総合3.47点(2010/8/5時点)と芳しくなく、内容も「満足とは言えない」だの「こもって聞きづらい」だのばかりで、Amazon.co.jpに至ってはレビューさえない。

正直それが理由で最初は「NS-C310」にしたのだが、この1ヶ月で「よく考えればたかが数人程度の評価だし、それだけで決め付けるのもな…」 と思い直し、このシリーズが海外展開されていることを知り(海外の)Amazon.comの方を覗いたところ、なんと45件で総合4.5点前後(しかも3点が1人いるだけであとは4or5点、2010/8/5時点)であったことが決め手となった。

まあ仕様を見てもこちらはやけに好評な「SS-B1000」と同等、あるいは上としか思えなかったのだが、実際購入してみてそれが間違いではなかったと確信した。真っ先にセンターのみのモノラル再生にて確認したときこそ、ブラシーボもあってかややこもったような印象も受けはしたが、単にアンプのセンターのみのモノラル再生時の音量がフロントのステレオ再生時より低く設定されていたこと、また簡易的に行っただけなので絨毯の上に直置きだったことが影響してのことで、AVボードの上にインシュレーターを噛ませて置き、音量を合わせてやったら「SS-F6000」にかなり近い、自然に響き渡るような音傾向となった。もちろん声がこもっていると感じることもなく、低音域~高音域にかけ優しくもはっきりとした音像。

どうせだったので一応「SS-B1000」も単一モノラル再生で比較視聴してみたが、やはり仕様通りの、低音域こそ「SS-CN5000」に若干劣るものの、上記にかなり近い音傾向であることが確認できた(劣ると言ってもあくまで「SS-CN5000」と比べた場合の評価であって、ブックシェルフとしては十分出ているレベル)。少なくとも普通に1台3,000円で買えるスピーカーの音質ではなく、これと同サイズのスピーカーと比べない限りは価格差だけで優劣はつけがたい印象だ。逆にやや気になった点としては、同設定にもかかわらず「SS-B1000」の方が「SS-CN5000」より微妙に音量が大きかった(ような気がする…)点だろうか。まあ誤差かもしれないが、もしかしたらこの音量差が“「SS-CN5000」=こもっている”という評価に繋がっているのかもしれない。

肝心のサラウンド感に関しては同シリーズだけあってバッチリ。どれも似た傾向故に音の繋がりが非常にスムーズで、明らかに「NS-C310」使用時より一歩進んだ一体感を感じることが出来た。“好みの音”というのは千差万別であり、(極論ではあるが)99人が「悪い」と言っても自分1人が「良い」のであれば“良い音”ということになるが、それはあくまでステレオ再生での話。3.1ch以上のサラウンドでは個々の音質以上に全体としてのバランス、音傾向の一致がダイレクトに臨場感へと繋がることを今回つくづく実感したため、“好みの音”の探求はフロントまでで、そこから先のサラウンド拡張時は素直に同シリーズで揃えることをお勧めしたい。

特定のスピーカーを手放しに「最高だ」と言い切る気はサラサラないが、少なくとも自分にとってこのスピーカーは“良い音”と言えるものであった。素人なりに複数のスピーカーを聴き比べてきたが、どうしても廉価機種に多いスリムなスピーカーでは出せない、“このサイズでなければ”というものは存在し、それを安価に実現できる機種として、このシリーズは貴重な存在だと思う。一概には言えないものの、スリムなものほど「硬い」「鋭い」といった印象が強いのに対し、ある程度余裕のあるサイズになってくると「優しい」「自然な響き」といった方向へと広がりを見せてくるような感じで、個人的には後者が好ましい。それもまた好みの部分であり、ある程度耳がこなれている人にとっては更に上位の、海外製の高級スピーカーでなけば満足出来ない人もいると思うが、この価格帯の製品を物色中であるなら、あくまで選択肢の一つとしてこの機種も検討してみて欲しい。

評判の割に実店舗には殆ど置いていない機種なので事前の視聴は困難かもしれないが、とりあえず6,000円で買える「SS-B1000」を試し買いしてみて、その音傾向に興味を持ったなら導入を決めてもいいだろう。サイズ故にスペース等設置の気苦労は多くなるかもしれないが、それだけの魅力も持った機種だと感じている。

 

 

 

   

   

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