【映画】サマーウォーズ
作品情報
劇場公開 | 2009年8月1日 |
TV放送 | 2010年8月6日/日本テレビ/HD画質 |
インプレ
主人公は大学生、舞台はあこがれの先輩宅という、なんとも羨ましいながらもよくあるシチュエーションで物語は始まる。基本は現代に即しているが、唯一ネットの仮想現実技術が経済の基盤にまで発展しているという点が異なる。
仮想現実世界ではほぼすべての人が実世界と同程度の権限を有したアバターを所有しており、どちらかと言うと近未来寄りの現代と言った感じ。近未来が舞台の作品ではよく「ヒトの作り出したAIがヒトに牙を向く」という展開があったりするが、この作品もそれに漏れず。便利になりすぎた世界に内在する危険性について、寓話ライクな側面を併せ持っている。
とは言ってもそれはあくまで間接的であり、作品の展開としてはネットを介す近未来像より、むしろ昔ながらの、田舎に住む人々の日常風景が中心。これがこの作品の独自性とも言えるべきところであり、一見相反する未来と過去の要素を上手く配合させることで、万人受けしやすいわかりやすさと、今までにない新鮮さを両立させている。
物語が大きく動くのは後半から。前半では完全に田舎思考だったゆったりとした流れが、ある出来事を堺に徐々にスピードを持ち始める。振り返ってみると結構急にサイバーな展開になっていたような気もするが、視聴中特に不自然さを感じなかったのは、要所要所ではきちんとネット外の実生活も並行して描かれていたためだろう。
田舎が舞台ということもあり、普及したとは言えネット社会に疎い人間も多い。こうした実世界にも通ずる点は他にもちらほらと見られ、視聴者が置いてけぼりにならないような細かな配慮が感じられる。また“危機的状況下において人の繋がりがどれだけ大きな力となるか”という比較的オーソドックスなテーマも描かれるが、それをありきたりに感じさせない演出力も見事。
そして最後は完全なハッピーエンド。「便利すぎる道具は諸刃の剣」「冴えない男が見せるカッコよさ」「オラに力を分けてくれ的な締め」など、振り返ってみるとやはり“ありきたり”と言われるような結論に辿り着いただけの感は否めないものの、作品の価値はそこ(結論)ではなく、そこに行き着くまでの過程の集大成こそが作品なのだということを、今回再認識させられた。
最後の最後は、被害の大きさからしても「いや普通に逃げとけよw」と内心突っ込んだりもしたが、まあそれはそれ。最近のジブリ作品みたいに、あからさまに何かを訴えようとして結果よくわからない意味深な空気で終わるより、こうしたオーソドックスな、伝わりやすい要素をふんだんに使った上で、それをオリジナルのものへと構成、昇華させる方向性の方が自分は評価できる。
同スタッフ陣による「時をかける少女」も個人的には大ヒットした作品のひとつなので、ジブリに続くアニメ映画の代表として是非とも確立して欲しい。
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